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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,484 字 · 60 頁
十一
がんりきの百の野郎といえども、一から十までロクでなし野郎だという限りでもない。それから後暫くあって、臭いところから這い出したこの野郎は、お角親方の特別借切りの一室を一人占めにして、すっかり納まり込み、長火鉢の前で、長煙管でパクリパクリ、そうして煙を輪に吹きながら、ひとり言――
「ふ、ふ、ふ、そうら見ろ、あの女め、火のように怒り出しやがった。だから、言わねえこっちゃねえ、あいつを、ああ嗾けて置きぁ、火の中へも飛び込むよ。あの勢いで押しかけて行った日にゃ、やにっこい役人はタジタジだぜ。何とかするよ。何とかしねえまでも、ただじゃあ首にさせねえよ」
と言うのは、つまり、自分の寸法がすっかり図に当ったことを己惚れている。いやしくも自分の子分子方であったものが、今日明日のうちに首がコロリという運命に陥っているのを、知らざあともかく、それと聞いて、ああそうかとすまし込んでいる女では決してない。自分としては、あんなところへ面も体も出せた身じゃねえが、あの女ならばどこまでも押して行くよ。そこを見込んで、かけ込んだおれの寸法が当った。
がんりきの野郎は、その寸法を己惚れきっている。