輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 178,374 字 · 345 頁

青空文庫

断わる神尾ではあるまいと見ていると、案外にも、今宵はこれで御免を蒙る、ほかに待っているのがあるからと言って、首を横に振ったのには、土肥庄次郎も、大師堂五郎魔も呆気に取られました。

三十七

ほかに待っているのがあると言って、吉原行きをことわって引返して来た根岸の侘住居。

これでは神尾もすでに老いたりだ、だが、他に待っている者があるとの口実が、いささか気がかりではある。

いったい、誰が、この化物屋敷に神尾を待っている?

待っていると言うたとて、ほかの者が待っているはずはない、先代ゆずりの、お絹という肌ざわりの相当練り上げられたのが、縮緬皺をのばして待っているくらいのもの。これが待っているからとて、附合いを外してまで戻ってやらねばならぬほどの、姉や思いの神尾ではないはずだ。姉やの方でもまた、一晩や二晩よりつかなかったからとて、おいたをしてはいけません、という程度のもの、きついお叱りがあろうはずはない。

それでも神尾は、夜のおそきを厭わず、御行の松の下屋敷へかえって来て、戸を叩くと、まだ寝ていなかったらしいお絹が、直ぐに戸をあけてくれたのを見ると、今日は、でかでかと大丸髷のしどけない姿。