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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 104,838 字 · 204 頁

青空文庫

「ちぇッ」

実際、腹の立つほどうまく描けていやがる、肉がそのまま浮いて出ている、肌の光沢が生き写しになっていやがる、それに、この生たらしい笑い顔はどうだ、生のものをそのまま取って来て描きやがったのだ、描く奴も描く奴だが、描かせる奴も描かせる奴だ、そうしてこの鏡の裏絵なんぞにして、大びらで世間へ向けて売り出す、不埒千万だ。

日本の女なんぞは、どんなに恥知らずだって、自分の姿を、裸にして描かせて売らせる奴はない。また、どんな堕落した絵かきだって、女の丸裸物を描いて市中へ売ろうなんぞということはしない。また、たとい売女遊女にしても、色は売るけれども、裸になった姿を描かせるような奴はまだ一人もいない――毛唐はそれを平気でやる。

毛唐は獣なのだ。だから、女を可愛がるにしても、イキな身なりや、すっきりした姿を可愛がるんじゃない。女を買うにしても、裸にしなけりゃ満足ができないのだ。遊ぶにしたところで、蘭燈の影暗く浅酌低吟などという味なんぞは、毛唐にわかってたまるものか。あいつらは、女を玩ぶに、女を裸にして玩ばなければ満足のできないやからなのだ――ちぇッ、いいざまをして、この女め、笑ってやがる、小憎らしい笑い方だなあ――