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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 104,838 字 · 204 頁

青空文庫

ましたが、婦人で、学問がある、歌がよめるというと、おきまりに才色兼備にしてしまうのが慣例になっていまして、才の方はとにかく、色の方は大割引しなければ受取れないのが通例なのに、あなた様だけは、割引なしの美人でしたから驚かされました」

白雲だから、これは全くお世辞ではありませんでした。

そんな調子で、話がそれからそれとはずんで行くうちに、白雲が、ついに望蜀の念を起してしまって、

「ああ、それそれ、もう一つ仙台家に――特に天下に全くかけ替えのない王羲之があるそうですが、御存じですか、王羲之の孝経――」

「有ります、有ります」

玉蕉女史が言下に答えたので、白雲がまた乗気になり、

「それは拝見できないものでしょうかなあ」

「それはできません」

女史はキッパリ答えて、

「あればっかりは、わたくしどもも、話に承っておりまするだけで、どう伝手を求めても拝見は叶いません、いや、わたくしどもばかりではございません、諸侯方の御所望でも、おそらくは江戸の将軍家からの御達しでも、門外へ出すことは覚束なかろうと存じます」

「ははあ、果して王羲之の真筆ならば、さもありそうなことですが、王羲之の真筆はおろか、拓本でさえ、初版のものは支那にも無いと聞いています――そういう貴重の品が、どうして伊達家の手に落ちたか、その来歴だけでも知りたい」