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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

になって、蚊一つの問題から、炉辺が異常なる緊張を示したのも、時にとっての一興でありました。

この席に、いつも見るはずのお雪ちゃんだけがおりません。

十一

その翌日のお雪の手紙。

「弁信さん――

昨晩は、夜通し怖い夢ばかり見ました。

いま、起きたばかりの、ねまきのままで机に向い、きのうの手紙の続きを書かなければならないほど、切迫しているわたしの心持を、昂奮しきっているように、あなたは、想像なさるかも知れませんが、その実、わたしの胸はきのうよりはズッと冷静なのよ。

それは、昨晩、あまり怖ろしい夢に責めさいなまれ通したおかげで、この度胸が据わったというのかも知れません。そうでなければ、わたしの、しおらしい娘心が、一夜のうちにすさんでしまったのかも知れません。

昨晩の夢で……わたしは、さんざん姉さんにいじめられました。

姉というのは、あなたもよく御存じの、わたしがここへ来る前に、巣鴨の庚申塚で殺された、わたしにとっては大好きな親違いの姉であります。

その姉が、昨晩夢に現われて、さんざんわたしをいじめました。

わたしは、何とも言いわけをしませんでしたが、あの親切な姉が、どうしたものか、あんまりムキになって、わたしをいじめるものですから、わたしもツイ二言三言、何かいいました。