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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
今年の七月土用の頃、水田の中の水をはかってみたら、四十度から五十度の間でありました」
「そうですか」
田山白雲も、ここでは、水が活きて五情をほしいままにする、という気焔を吐き兼ねて、駒井のいうところに傾聴するのみであった。駒井は水のようにすましこんで、白雲の頭へはいる程度の数字を択ぶような態度で、
「われわれは、水の色と、温度とを、数字的に見るだけでは足りません、その成分をまた、数字の上に分けてみたくなるのです。つまり、水の中に含んでいるさまざまの有機物を分析して、それを表に現わしてみること――それがまた、進めば進むほど趣味もあり、実際上にも密接な関係を生じて来るのです」
「川の水と、海の水とは、成分がちがいましょうな?」
「それは無論違いますとも。川の水だけでさえ種々雑多な相違があり、海の水とても一様には言えない。たとえば、淡水の氷は、二三寸も張れば人が乗っても危険はないが、海の氷は、二三寸では子供が乗っても破れることがあります」
「そうですか知ら。われわれは単に、川の水は甘い、海の水はからい、という程度にしか見ておりませんでした」
「その海の水のからさ加減も、ところによって非常な相違のあること、川の水の甘さにも、相違のあるのと同じことです」