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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

また聞き取ってやる必要もない。他の寝室へ闖入して、異性に戯れんとするは、狼藉中の狼藉である。容赦と、弁解とを、聞き入るべき余地あるものではない。

「あっちへおいでなさいといったら、おいでなさい――人を呼びますよ、誰か来て下さい!」

娘はついにかなり大きな声を立てましたが、ここまで闖入者を許すほどの家だから、この声が有効になるはずはありますまい。

金椎がいるにしても、あれは、よし眼がさめていたとて、声では驚かされるものではない。

娘にとっては、かなり危急な場合ではあるが、万事、人間のすることはそう手っ取り早くゆくものではない。猫ですらが、鼠をとった時は、一通りその功名を誇ってから後に食いにかかる。仮りにこのウスノロ氏が、思い設けぬ御馳走にありついたとしたところで、食の後には酒、酒の後には若い女と、こう順序があまりトントン拍子に運び過ぎてみると、なんだか自分ながら、果報のほどに恐ろしくもなるだろう。

まして、これは最初から、兇暴な野心を微塵も持って来たのではない。かりそめの漂浪者であってみれば、その咄嗟の間に、兇暴性を充分働かせるだけの器量があるとも思えない。