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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

遠慮のない奴もあったものだな、兵馬は呆れながら、なお油断なくその挙動を注視していると、お湯を飲むこと飲むこと、立てつづけに、何杯も、何杯も、あおりつけて、忽ち鉄瓶を空にしてしまいました。鉄瓶が空になったと見ると、それを下へ置いて、ゲッという息をついて、トロンとした眼で室内をながめて、ぐったり身体を落ちつけているところ。

ははあ、酔っているな、酔って、戸惑いをしたな。

本来ならば兵馬は、そこで穏かに警告を与えて立退きを命ずべきはずであったが、放って置いても、やがて当人が気がついた時は、いわれるまでもなく、ほうほうの体で立退くだろうと、タカをくくったものらしく、だまって女のなすがままに任せていると、

「房ちゃん、いいかげんにしてお起きなさいよ、花ちゃんのお帰りよ、お起きなさいな」

と言いました。

それでも返事がないものだから、女は、

「狸をきめても知らないよ、ほんとに独り者はいい気なものさ」

まず、自分がどこへ来ているのか、お気がつかれぬらしい。

「ほんとに疲れた、わたし、こんなに疲れたことはないわ、こんなにお酒を飲ませられちゃったの……房ちゃん、後生だから、起きて介抱しておくれな」