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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
道庵つくづくと、その百姓面を鏡に照らし合わせながら、
「尚書に曰く、農は国の本、本固ければ国安しとありて、和漢とも、農を重んずる所以なり。農事の軽からざる例は礼記に、正月、天子自ら耒耜を載せ給ひて諸侯を従へ、籍田に至つて、帝耕し給ふこと三たび、三公は五たび、諸侯は九たびす、終つて宮中に帰り酒を賜ふ、とあり、天子諸侯も農夫の耕作を勤むる故に飢を知り給ひ、さりとて、官ある人、農を業とすべきにあらざれば、年の首、農に先だつて、聊かその辛苦の業を手にふれ給ふ、実に勿体なくも有がたき事ならずや……」
滔々としてやり出したものですから、これは気狂いではないかと、床屋が顔の色を変えました。
かくてその日、この宿を立ち出でた道庵先生の姿を見てあれば、わざと笠をぬいで素顔を見せたところ、竪縞の通し合羽の着こなし、どう見ても、印旛沼の渡し場にかかる佐倉宗吾といった気取り方が、知っている者から見れば、ふざけきったもので、知らない者は、あたりまえのお百姓と見て怪しまぬほどに、変化の妙を極めておりました。
さて、そのあとから、少し間をおいて続いた宇治山田の米友。これは、前来通りと別に異状はありません。