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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
秘密というものは、一つ疑えば、いくつも疑えるものだから、その辺から、がんりきがいい心持をしていないらしく、時々、両国の控え宅へおとずれて見える時も、どうも気がさして、なんだか、自分のほかに先客がありはしないかとさえ、気が置かれる――その神経が少し尖り過ぎて、先日は田山白雲に於て見事に失敗した。
こいつは色男じゃねえ――とばかばかしくもあったり、ホッと胸を撫で下ろしてみたりしたのは、ついこのお角の留守中のことだから、それはお角の知ろう由もないが、とにかく、がんりきが自分に対してやきもちを焼いているということが、お角をして、多少得意がらせていることは確かです。どうです、わたしの方が役者が一枚上でしょう――といったような優越感が、この女の負けず嫌いを満足させて、悪い心持にはさせていないようです。
この辺で止まっていればよかったのですが――お角も、女だけに、もう一歩進んだのがよくありません。つまり、こちらの強味に乗じて、先方の弱気をからかってやろうという気になったのです。どっちみち、こうなると――それは、そそっかしい女中の間違いだか、果して、がんりきのいたずらだか、どちらだか、まだしかと突きとめた次第ではないが、お角はもうそうに違いないときめてしまって、がんりきの奴、いつもの伝で、夜中時分に忍んで来て、いやがらせ