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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
。
全く無事で、がんりきのがの字も聞えず、今日もいい天気で、障子の外に老梅の影が、かんかんとうつっている。
十
果して、お角の想像にたがわず、がんりきの百は、たしかに小田原の町へ乗込んでいて、お角がまだ床を離れない時分に、早くも八棟の外郎に、すました面で姿を見せたのがそれです。
この男が、南条、五十嵐の手先となって、案内者ぶりをしているのは、今にはじまったことではないが、このごろでは、どうやら山崎譲の方とも妥協が出来て、ずいぶん、その方の御用もつとめているらしい。
当人は、のほほんで、両方のお役に立ち、その間に自慢の女漁りと、旨い汁を吸うつもりでいるらしいが、相手が相手だから、いつまでも、そんな虫のいい商売が続くものではなかろうが、こっちもこっちだから、いいかげんにタカをくくっているものらしい。
何のつもりか、外郎を二丁買い込んで、それを胴巻の中へ、しまおうとする途端に、店頭の一方から不意に、
「御用!」
当人にとっては、お約束のような掛声で、やにわに組みついて来たのを、そこは心得たとばかり、体を沈めると、組みついた手が外れるのをキッカケに、するりとすり抜けて、表へ飛び出したのは型のような鮮かさで、それから後は得意の駈足です。