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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

それを読むと、

「茂チャン帰リマセン、ミドリサンモドコカヘ行ッテシマイマシタ」

十六

清澄の茂太郎が、ふと蘆笛の吹奏をやめて、黍畑のあなたを見やった時、せっかく、首をふりかけた表情のない動物が、愕然として恍惚から醒めて、のどを鳴らしはじめました。そこで、黍畑のあたりを見ながら、例の卒塔婆を折りくべて、茂太郎は反芻の歌をうたい出しました。

神のことごと

つがの木の

いやつぎつぎに

天の下

知ろし召ししを

空にみつ

大和を置きて

青丹よし

奈良山越えて

いかさまに

思ほしめせか

天離る

鄙にはあれど

石走る……

ここでは中音で歌いました。

これは、お雪ちゃんからの伝授であろうと思われます。今まで、いつどこで、茂太郎が万葉集を習ったということを聞きませんから、月見寺にいる時にこそ、お雪ちゃんの口ずさみを聞きなれて、聞きよう、聞きまねに、口をついてほとばしるものでありましょう。

「茂ちゃん、茂ちゃん」

不意にその黍畑の方から、名前を連呼しながら飛び出して来たのは、兵部の娘です。

「お嬢さんかエ」

「あい、お前、そこで何をしていたの」

「笛を吹いていましたよ」

「誰にことわって、こんなところへ来てしまったの」