輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

従って、その見舞の言葉に、明確な謝意を表するものもないのです。

そこを米友は、かなり無遠慮に近寄って、現在の被害者をまともに見舞いました。それは只今、川から引き上げられたままの一人の若い、この武士階級の仲間のうちでもかなり身分のありそうな若い人が、引き上げられて正体なく、沙上に置かれていると、それを取囲んで、

「御主人様」

「鈴木氏」

「気を確かに持たっしゃい」

「おーい」

「鈴木氏――おーい」

口々に叫んで、それを呼び生かそうと努力することのほかには、他念がないらしい。

呼び生かそうとは努力するが、その努力は狼狽を伴っているから、いずれも無効です。努力すればするほどに、要点を外れてしまって行くのです。

「火を、早く火をお焚き下さい」

「おい、早く焚附を、薪を持て」

「薪ではいけない、藁火を……藁を」

彼等は口々に騒ぐけれども、この武士階級を取巻いている土地の人が、かなり輪をかけた狼狽ぶりで、ほとんど物の用をなさないらしい。

「何よりも早く医者を、医者を呼べ、医者を呼ぶことが急務だ」

喧々囂々として、騒いで且つ狼狽するがために、いよいよ救急の要領を外れ、努力の能率がみんな空費されてしまうことを、米友も歯がゆく思わないわけにはゆきません。