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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
でやって来た……あの大きなズウタイで、よく歩けたものだな……ナニ、足はなかなか達者だよ、西郷はあれで、あのズウタイで、乗物に乗らず、わらじばきで、前ぶれもなしにさっさとやって来ては、またいつのまにか帰ってしまう、だから、せっかく西郷に逢いたがっていたものが失望する……失望はいいが、そう軽々しく出歩いた日には、あぶなかろう……そこがつまり、一種の機略だろう……大びらに西郷江戸に来るとなれば、江戸の天地が、安政の大地震以上に震動するかも知れない……ははあ、薩摩の陪臣一人が出て来ると、江戸の天地が、安政の地震以上にゆれるとは大仰だ……西郷という男は、それほどエライ男かい、あれも人気者じゃないかな……薩摩というものを背負って、大舞台を睨んでいるその形に呑まれて、大向うがやんやと騒ぐだけのもので、事実、人気ほどの英雄じゃあるまい――長州の大村、同じ薩摩でも大久保あたりの方が、実力はズンと上だといっている……
こんな途切れ途切れの言葉を、七兵衛は夢うつつに聞いておりました。
つまりこの頃、右の薩摩屋敷に、西郷なるものが乗込んで来ているという噂。
八