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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁
湯治に来たとはいうものの、実はその人を隠さんがために、はるばるこの白骨の山間まで来たというような結果になっている。
その人は、ことさらに逃げ隠れるという卑怯な振舞はないが、陽の目、人の目を、避けることを好んでいるらしく、また、おのずから、それを避けるように出来ている。
お雪は、その人が、こうなるまでの来歴を知らない。知りたいとも思うが、そこを掘ると底知れない暗やみの穴が現われて、自分がその中にまき込まれるように思うから、怖くてその蓋があけられないような心持でいる。
しかし、その人の魂には、あらゆる創がついて、そこから血が滲み出ているのを、まざまざと見せられる。
容易ならぬ罪業の人である。
男というものは、閾を跨げば七人の敵があるものだという話だが、この人の敵は、七人や八人ではあるまい。
それはどこに、どういう敵を持っているのだかわからないけれども、どのみち、誰にも知られないうちに、あの満身の病根に療養を加えさせて上げたいという、暗示的に来る同情心が、この際、お雪の逸る心を抑えて、そうして、飛び立つほどに名乗りかけてもみたかった兵馬に対して、一言も言いませんでした。