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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

「しかし、恐怖というよりほかは言いようがないのだ、嫌悪じゃなし、憎悪じゃなし、やっぱり怖ろしいんだ、あの二つの音に、恐怖を感ずるとより言いようがない」

「君ほどの人がねえ……君の亡者ぶりには、大抵の人がおぞげをふるうのに、その君が、尺八と、木魚に恐怖を感ずる――さあ、弱味を見て取ったぞ、仏頂寺を殺すにゃ刃物はいらぬ、笛と、木魚で、ヒューヒューチャカボコ……」

十五

お雪が気を揉もうとも、仏頂寺が恐怖を感じようとも頓着のない、この座敷のあるじは、感激の無い「鈴慕」の一曲を冷々として吹き終りました。

さあ、こまちゃくれたピグミー、昔を恨み顔な女――出て来るなら今のうちだよ。

だが、今晩は魑魅魍魎が出ないで、あたりまえの人が来ました。

「先生」

軽く息をきって、障子を忍びやかに開いて来たのはお雪です。

「御免下さいまし」

それは燈火のついていない真暗な座敷です。

心得ているのか、入って来たお雪は、あれほど気の利いた子でありながら、暗い座敷へ入って、まず燈火をつけようとの試みもしないで、少しばかり畳ざわりの音がしたかと思うと、それっきり静かで、何も聞えません。