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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

「そうですか、お前さん、これからどこへ行きます」

「そうさね、どこといってべつだん当てはないのだが、お前のいま言ったその信濃の国の、白骨というところへでも行ってみようかと思っているのさ」

「あ、そうですか、白骨へ行きますか。白骨へ行きましたら、皆さんによろしく」

「それじゃお前、弁信さん、横になってゆっくりお休み、おいらはこれで失礼するから」

といってピグミーは、軽快に立ち上り、またも籠目形の鉄瓶のつるに足をかけて、自在竹をスルスルとのぼって、天井の簀の間に隠れてしまいました。

弁信が熊の敷皮の上に横になったのは、そのあとのことで、横になると肱枕にスヤスヤと寝入ってしまいました。

三

同じ夜の、同じ時刻のことです。

ところは、信濃の国の、白骨の温泉への山路を急ぐ一人の旅人がありました。

外は満天の月光でありまして、地は一面の雪であります。

白骨への嶮山難路を、今の時候に、今の時刻に、しかもひとり旅で辿るということは、全く思い設けぬことで、何か非常の用向があるか、そうでなければ、ついつい道に迷って、松本平へ帰ることもできないし、そうかといって飛騨の国へ出ようというのは途方もないことです。