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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

それで、聞き終ると共に一種の哀愁を覚えて、「碁経」の巻を閉じました。

そこでなんとなく、座敷の外へ出てみたいと思ったのは、虫のせいかも知れません。

今宵は、前の晩のように間毎間毎を、探索の眼を以てたずねて廻ろうというのでもありません。

ただなんとなく、外へ出てみたくなったので、出てみる時に、おのずから足が三階の松の間へ向いました。

あの娘のことが、気になっているのだなと、兵馬は自分ながら気がつきました。

なんとなく、足がそちらへ向いて、明日立つとすれば今晩限りだ、あの娘のところへ行って、一応の暇を告げてみたいという気になったのは、自然かも知れません。

そうして静かに兵馬は、廊下を歩んで行ったが、二階のあの角の座敷に行くには、一度、三階へ上って、それから下った方が近路だと気がつくと、そのまま三階へ上ってしまいました。

しかし、まだ名乗り合って近づきもなにもしないのに、突然こちらから訪問するのも無躾ではないか――なあに、先方は来る早々から、あんなに親切にしてくれたのだから、その親切に対しても、一応のお礼は述べに行かなけりゃならん。

そんなふうに、自己弁解をして、三階の廊下を歩んで行くと、行手で、ふっと人の足音がしたものですから、兵馬は戸袋の隅に身をもたせかけて窺いました。