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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

。

かくて、思う存分に、その湯にひたっていると、猟師は、そのあたりの板小屋に腰を卸して網を張りにかかるらしい。

網を張るというのは、こうして待構えていると、猿やその他の動物が、湯につかりに来ることがある。それを見ていて、あるものは手捕りに、あるものは銃殺、あるいは槍殺もするらしい。稀れには弓矢も用いることがあるらしい。

ここで、思うさまの悠浴を試みた兵馬は、身心一層の爽快を覚え、網を張る猟師とは別れて、ひとり目的地へと急ぎます。

今は路傍に美しい高山植物のたぐいこそ咲いてはいないが、山林、谿流、すべてが清麗で、顧みれば、四周の深山の中には、焼岳の噴煙がおどろ髪のように立ちのぼる。途中一つ信州松本への廻り道があっただけ、安房峠を越えてしまえば、平湯までは二里に足らぬ道。

前途の不安が全く除かれてみると、深山を楽しむの快感が身に沁み渡り、いい知れぬ勇気が湧いて来る。

兵馬は、この快感と、勇気とをもって、安房峠を打越えながら、「万法一に帰す、一何れに帰す」ということを考えさせられました。これは兵馬にとっては、かなり重い公案のようなものですけれど、兵馬は往々、ふいにこんな公案にひっかかって、分相応の頭を練りながら、旅路を行くこともあるのです。