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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

「さあ、事だ」

もんどり打ったピグミーは、一間ばかりかなたへ飛んで、そこへペタンとかしこまると、さも大仰な表情をして、両手をついたものです。

そんなものには取合わず、竜之助は刀を拭いはじめました。打粉をふって、例のやわらかな奉書の紙で、無雑作に二度三度拭うているのを、ピグミーは仔細らしくながめて、

「結構なものでございますな、お作は何でございますか、郷ですか、なるほど、郷の義弘でございますか」

出しゃばり者め、問われもしないに知ったかぶり。

竜之助に取合われないものですからピグミーは、少しばかりテレたが、尺とり虫のように身を屈すると見れば、早くも刀の手もとまで飛び込んで、竜之助の柄を持っている左の手を足場にして、仔細らしく刀身の上をのぞき込み、

「ははあ、五の目乱れと来ていますね、悪い刀じゃありません、いや、どうして結構なものです、ちょっと、この類の程度はありません――誰ですか、相州の五郎入道正宗ですか」

仔細らしく、刃文の匂いのところを見渡しているが、なおいっこう返事がないものですから、

「違いましたか、五郎入道正宗というところは当りませんか、当らずといえども当り同然のところまでは参りませんか、ただし釣合いはいかがですか、それとも否縁でございますか」