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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁
五十五
こうして米友は、不思議な女の人に誘われて、とうとう、鳴海本宿の、その宿屋まで伴われて来ました。
どのみち、明日は名古屋へ着くべき間柄だから、誘わるるままに米友も、今日は一泊という気になったのでしょう。
大和屋というのへ着いた時は、もう夕暮を過ぎて、夜の領分に入っていました。
この女の人が、宿へ着いたと見た時、宿の人の騒ぎは大きい。
「二十番のお客様がお帰りになった」
「お嬢様がお見えになりました」
といって、上を下へと騒ぐのを尻目にかけて、鷹揚に座敷へ上り、
「連れの方が出来ましたから、お洗足を上げてください。お洗足がすんだら、わたしの部屋へ御案内をしてください」
その途端に、出逢がしらに、飛んで出たのは女軽業の親方お角でした。
「まあ、お嬢様、あんまりじゃありませんか、どのくらい心配したかわかりませんよ」
「それはお気の毒でしたね」
お気の毒を、よそ事のように言って、女の人が歩み出すと、お角は、むしろ呆気に取られたようで、
「それでもまあ、お帰り下すって安心を致しました」
お角さんの気象では、なぐりつけてやりたいほどのところでしょう。