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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁
かくて二人は、釣竿と、ビクとを宙にして、面の色を変えて走り出しました。
この二人の少年は、町の方に向って走りながら、宣伝をはじめました、
「黒灰の浦にスッテンドウジが来ているよ」
それを聞く少年少女らは、恐怖に打たれて耳をそばだてたが、大人連はいっこう取合いません。
「大江山のスッテンドウジが、黒灰の浦に来ているのを見て来たよ、ほんとうに嘘じゃねえんだよ、こうして泳いでいるところを……」
二人の少年は、力を極めて、自分たちの目撃して来たことの真実なることを証明せんとしたが、それらは、少年同士の好奇と、恐怖を催すだけで、大人たちにとっては、訴えれば訴えるほど、笑止の種となるだけでした。
「スッテンドウジは、山にいるもので、海へ来るはずのものじゃねえよ」
けだし、スッテンドウジというのは、大江山の酒呑童子のことで、それはとうの昔に、源の頼光と、その郎党によって退治されているはずのものです。しかしながらその面影は絵双紙に残って、彼等少年たちの印象に実在しているのでしょう。
かくて、少年たちは、好奇より恐怖が多いせいか、行って見ようとはいわず、大人たちはてんで一笑に附して問題にしないから、根限りの二人の宣伝が、ここでは全く無効になりました。