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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

そうかといって、彼の口を衝いて出る歌そのものが、決して、立派な創作だと誰がいう。五年前に聞いた潜在意識が首を出すこともあれば、目の前のガチャガチャ虫を模倣することもあります。

要するに、彼が歌うの歌詞そのものは反芻に過ぎませんが、声楽としての天分に、どれだけのみどころがありますか知ら。それはそれとして、まあ、この際に、口を衝いて出て来た、たわごとを一つ聞いてやって下さい、

「そうら、この大海原の波の上で、静かに、安らかに、一生を送りたいという人がありますか……ありましたらいらっしゃい、町人方も、お百姓衆も、お小姓も、殿様も、皆いらっしゃい――どなたか健康を欲する人がありますか、幸福を得たい人がありますか、ありましたら、遠慮なくいらっしゃい、手前共がそれを売って差上げます……」

この子は、膏薬売りの口上を聞き覚えて、それを真似出したかも知れない。

そうでなければ、駒井甚三郎が読む外国の本の口うつしを、うろ覚えにしておいて、それを、ここでそっくり反芻しているのかも知れない。

だが、いずれにしても、模倣というほどに邪気のあるものでなく、焼直しというほどに陋劣なるものでもあるまい。