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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁
その足どりは先日、同様の夜山をした弁信法師と同じように、弱々しいもので、十歩往いては立ちどまり、二十歩進んでは休らいつつ、息を切って進んで行くのは、まさに病み上りに相違ないが、でも、何か別しての誓願あればこそ夜山をするものでなければ、今時、飄々と出遊するはずはありません。
足どりこそ、たどたどしいもので、歩みつかれて息ぎれのする呼吸を見てもあぶないものだが、もしそれ、時とところとによっては、身の軽快なること飛鳥の如く、出没変幻すること遊魂の如くなるが――弥勒堂あたりから松柏の多い木の間をくぐる時分に、これはまた、遽かにパッと満身に青白の光が燃えついて来たのはどうしたものでしょう。
その形相を見るに、生ける長身の不動が、火焔を吹き靡かせつつ、のっしのっしと歩み出したようなものです。ただ、その火焔の色が、不動尊のは普通の火の如く紅いが、この物影から起る猛火は青いのです。
それは青い火が後ろから飛んで来て、不意にこの物影にむしりついたのか、或いはこの物影の体内から自然に青い火が燃え出して、この雰囲気を作ってしまったのか、そうでなければその辺の焼残りの野火にでも触れて、忽ちこんな火焔を背負わされてしまったのだか、そのことは、はっきりわからない。