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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁

青空文庫

無論、両袖でしっかりと宇津木兵馬の双刀を抱え込んでいる以上は、手ばなしでなければ泣けないわけなんですが、それにしても、あんまりあけすけな泣き方で、かえって興がさめるほどです。興がさめるほど露骨に泣いているのですから、それだけまた、思わせぶりのたっぷりな、手れん手くだというようなものが少ない。つまり、その泣き方は、芸者や遊女としての泣き方ではなく、子供の駄々をこねる泣きっぷりと同じようなものでした。色気のない泣き方であるだけ、それだけ、兵馬をしていよいよ迷惑がらせていると、

「あなたまでが、わたしを袖にして、寄りついても下さらないことが悲しうございます、寄りついて下さらないばっかりか、あなたまでがわたしを置去りにして逃げてしまおうとなさる、あんまり薄情な、あんまり御卑怯な、あんまり情けなくて、わたしは……」

と福松が、また、わあっわあっとばかりに泣き落しました。兵馬も全くあしらい兼ねているものの、いつまでも黙ってもいられないので、

「そういうわけではない、なにも拙者が君を捨てて、この地を立とうというわけもなし、また君にしてからが、拙者に捨てられたからといって、左様に泣き悲しむ筋もあるまい――拙者には君の感情の昂ぶっている理由がわからないのだ」