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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁

青空文庫

そこで、「新月」の名はどうしても逆で、満月が新月で、それからだんだんにかけて行って新月になるというのが感情の上からは順当であるけれども、そうかといって、かけるほど、細くなるほど、老いたりとするのは当らない。いかにかけても、細くなっても、新月はやっぱり新月なのであります。満月が老い、朽ち、衰えて新月となるのではなく、満月が研がれ、磨かれ、洗われ、練られ、鍛えられつくして、その精髄があの新月の繊々たる色と形とをとって現われるのであります。

ですから、四日月よりも三日月がよく、三日月よりも二日月に至って、まさに月というもののあらゆる粋と美とが発揮されてくるのです。そこで人は、彼に「新」という名を与えずには置かない。他の物象にあっては、老いということは衰を意味するけれども、月にあってのみは、老いが即ち粋となり、凄となり、新となる。

お銀様もまた、昔から、この「新月」が好きなのでありました。特に今まで、お銀様が「新月」が好きだという記録はこの作中には書いてなかったが、それは書く場所を見出さなかったから現われなかったまでのことで、かつて武州小仏の峠から、上野原方面へ迷い入った時に、たしかこの月影を西の空にうちながめたことがあったはずです。