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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁
与次郎は自分が家を出かける時、その赤児と別れるのが、なんぼ辛かったか知れなんだのを思い出し、人に物を言うように、
「なア猿、かわいそうどうけんど、ぜひおれに命をくりょ、殿様のたってのお望みで仕方ンない、ちょうどわしにもお前ぐれえの赤児がある、無理もないこんどう、お前の子供はおらがのおしゅんといっしょに、おしゅんのアンマ(乳)をくれてきっと立派に育ててやる、そんだから、な、頼むからわしに命をくりょ」
こう言うと与次郎は、三度目の鉄砲を取り、心を鬼に取り直してグッとひき金を引いた。
猿は見事に喉をぶちぬかれてバッタリと倒れた。与次郎は自分も貰い泣きをしながら、泣き叫ぶ赤児をようやく親猿から引離してヒトコ(懐ろ)へ入れ、親猿をショって山を下った。そうしてその猿を殿様に差上げると、殿様からはたくさんの褒美を下された。
これから与次郎は子猿を家に連れて帰り、女房にも、この猿はこれこれこういうわけで連れて来とうだから、大事に育てろとよく言いつけた。
猿の子もはじめのイトは、乳を欲しがって泣いて困ったが、そのたびに与次郎の女房がおしゅんの乳を分けてくれ、だんだん馴れてイカくなった。