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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁

青空文庫

「宇津木様、ここ、あけて頂戴な」

やはりお雪ちゃんではなかったのです。

「福松ではないか」

「はい――早くさ、早くあけて頂戴よ」

兵馬は全く機先を制せられてしまい、あけるもあけないもなく、もう起き上ってしまって、やえんに手がかかると、雨戸がからりとあきました。

「何しに来たのだ」

「御免なさいね、宇津木さん」

女というものは、どうして、どれもこれもこう図々しいものだろう、もう座敷へ上ってしまいました。

「どうしたのです」

「わかってるじゃありませんか、逃げて来たんだわ」

「どうして」

「どうしてでもありゃしません、あなたのおあとを慕って参りましたのよ」

「ちぇッ、軽はずみのことをしたもんだな」

「軽はずみなことがあるものですか――わたしは、あなたを頼るのが一番たしかだと、つくづく思案を重ねた上の覚悟なんですから」

ここでまた、宵のこととは異った場面で、二人は相対坐しなければならなくなりました。

「もう致し方がございません、もしあなた様が御迷惑とおっしゃるなら、わたしは死ぬばかりでございます、こうしてこのままこの土地にいつかれるものかどうか、少しはわたしの身にもなってごらんなさいましな。