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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁

青空文庫

「うん――あれはね」

米友の返事は存外素直に出ました。うっかりよけいな質問をかけて、ぴんしゃんハネつけられないのが見っけものと、お雪ちゃんとしても、多少危惧してかかったのでしょうけれども、それが存外物やわらかな手ごたえがあったものでしたから、まず安心していると、

「あれはね、あれは変人だよ」

と米友が、まず断案を頭から、たずねた人の真向へおろしてしまったには、お雪ちゃんも面喰いました。

「変人!」

変人だか、常人だか、それを聞くのではない。そんな断案は、人に聞かなくても一見すれば誰でもわかることで、ちょっと附合ってみさえすれば、お嬢様という人が――ここにお嬢様と呼ぶのは、かの有野村のお銀様の代名詞であることは申すまでもありません――常人でないことだけは、わからずには置かないのですから、そんな無意味な断案を改めて米友から聞く必要はないのです。だが、相手を呼んで変人だという、この返答の主、すなわち宇治山田の米友がどれだけ常人に近いのだか、それを考えると多少はおかしくもなるのですが、これはこの返答の結論でも断案でもなくて、帰納と演繹との論鋒を逆につかったものとして見れば、もう少し希望を残して聞いていないわけにはゆきません。