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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁

青空文庫

一生の思い出に、ここでひとつ、ゆっくりとお名残りを惜しもうではありませんか」

と言って、女はこし方の高山の方へと向き直りました。

しょうことなしに兵馬が佇んでいると、女はどうしたのか、いよいよ浮き立ってきて、

「ねえ、宇津木さん、ここでわたしがお名残りに、飛騨の高山で覚えた芸づくしをお聞きに入れるわ――お相手があなたじゃ、その方は張合いがないけれど、わたしの心意気だけを聞いて頂戴よ。いいえ、あなたにお見せ申す心意気てわけじゃないことよ、これっぽっちの間ですけれども、高山には御厄介になっていたお礼心で、わたしここで、高山音頭を器量一杯にうたってみますわ、あなたはお相伴に、おとなしく聞いていらっしゃいな」

女は高山の方へずっと向き直って、そうしてツツンテンテンと口三味線をはじめました。

「聞いていらっしゃい、古いところからお耳に入れてあげるから」

兵馬がいよいよもてあまして立っていると、女は練り上げた声で、

宮の八兵衛は酒お好き

お酒三杯と嬶かえた

嬶かえた……

その突拍子な調子を兵馬が呆れました。

心やすやす安川を

向うに越ゆるは鍛冶屋橋

宮で角助、平湯で右衛門さ

ドン、ドン、ドドロン、ドン