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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

右手にながめる比良、比叡の山つづき、左にわたる大和、河内への山つづき、この間は一帯の盆地、京洛の天地はいずれのところにあるや、山科、宇治も見渡す限り茫々たる薄野原でありました。

机竜之助は、「柳緑花紅」の石に腰打ちかけて、腰なる煙草入を取り出して、燧石をカチカチ、一ぷくの煙草をのみ出しました。今日まで机竜之助が杯を傾けたということは見えているが、未だ煙草をのんだという記録はなかったように思う。ここへ来てはじめて悠々と煙草をのみ出している。

煙草をのみながら、透綾のように透き通る笠の、前半面から、悠然として、目に余るすすき野原をながめているのであります。

そうすると、暫くして、行手の右の方の蜿蜒たる一筋路は伏見街道――やはり、すすき野原を分けて、見えつ隠れつ、一い、二う、三い、三梃の乗物が、三人の従者に附添われながら大和路へ向って行くのを見る。

「おーい」

と机竜之助が、これを見かけて、片手をあげて呼ぶと、あちらでも、

「おーい」

答えはあったが、人が見えない。

机竜之助は、あわただしく火打道具を腰にはさんで、笠の紐をとって、それを片手に高く打振りました。