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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

このすさまじい高笑いが起ると共に、左の肩に置かれた細いしなやかな手も、右で指さされた島原の白い手首も、すっと、霞を引いたように消え失せてしまって、竜之助が振返った背後には、雲を衝く大男が一人、大手を振ってのっしのっしと歩み来るのを見受けます。

「は、は、は」

先方は、すさまじい豪傑笑いを以て、竜之助の背後に迫り来ったのです。その時に、発止と思い当った竜之助は、二三歩すさって身構えざるを得なかったものです。

「喫驚したかな、田中新兵衛だよ、示現流の、主水正正清の田中新兵衛だ」

「うむ――また出たか」

「今度は果し合いの申込みなんて、そんな野暮な真似はせぬから安心し給え、おいも、久しぶりで京都へ入るのだ、いい道連れを欲しいと思っていたところへ君が来たので嬉しいよ、昔のことは忘れて、旅は道連れの情けを以て、つき合ってくれ給え」

いかにも、そういう声は田中新兵衛である。その昔、この道を通った時に、不意に背後から呼び留めて、白昼、真剣の果し合いを申込んだあの白徒である。だが、今宵は、あの時と打って変ったあけっぱなしの、隔てのないものの言いぶりで、豪傑肌こそ昔に変らないが、殺気などというものは微塵もない、真に己れも淋しいことあって、友を呼ぶ魂のように聞えるから、竜之助も極めて安心をしつつ、その追いつくのを待っていると、ほどなく