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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

弁信の姿が藪の中にすっかり没入したが、海道に踏みとどまる米友は、杖槍を中空にハネ上げたり、受け止めたり、ひとり太神楽の曲芸は以前に変らない。いや、以前よりも一層の興味をわかして、自己陶酔に落ちると、いつもする一流の型をつかいはじめました。

ひとたび藪蔭に身を没した弁信は、容易に姿を現わして来ない。

にも拘らず、米友が手練の入興はようやく酣わになりまさって行って――ようやく忘我の妙境に深入りして行く。

トコトンヤレ

トンヤレナ

口合いの口拍子だけは、いっかな変らない。惜しいことに、今晩もまた、無料無見物の中に、得意の秘術をほしいままに公開している、その陶酔境の真只中へ、

「米友さん、わかりました」

弁信が、竹の小藪の蔭から抜からぬ面を現わしました。

八

しばらく弁信法師に導かれて来て見ますると、久しく閉された柴の門に、今日この頃ようやく手入れをして、いささか人の住める家としたらしい、その前へ来ました。近よって米友が門の柱を見ると、三寸に四寸ほどの門札のまだ新しいのがかけられたのへ、提灯を振りかざして見ると「光仙林」――それは自分の提灯に記された文字と同じであることを知りました。