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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁
当年、この猛将を主として城下に生を安んじていた者にとっては、最も誇るべき好主であって、悪むべき悪政の主としての記憶は微塵もないはず。それを時の勢いに乗じて、脆くも踏み破って、その妻妾を取って帰るというような猿面郎の成金ぶりには、むしろ憎悪を感じようとも、好感の持てようはずがない。
日本の人気から言えば、猿面郎は天下取りであるけれども、この土地から言えば、天魔来って好主を亡ぼす、と言って言えないこともない。他の地方ならば、秀吉の古跡を光栄として、これに「天下ヶ池」の名を附けたかも知れないが、ここでは「天魔ヶ池」という。まさに無理のない情合いもある、というようなことを兵馬が感じました。
そういうような混み入る感情に、頭が縦横に働いたが、足羽の台に立つことしばし、歴史的の感傷がようやく去ってみると、ただ見る越前平野の彼方遥かに隠見する加賀の白山――雲煙漠々として、その上を断雲がしきりに飛ぶ。今や雨を降らさんかの空に、風さえかけつけている。兵馬の眼と頭脳とは、はしなくも去って、あわらのいでゆの曾遊――といっても、たった今の朝、辞して出て来たその後朝のことに思い到ると、何かは知らず、腸がキリキリと廻るような思いが起って来ました。