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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

人跡の稀れな山中の出会いですから、おたがいに言葉をかけ合うのが当然です。

「こんにちは――」

と先方が、笠をかたげてまず兵馬に挨拶をしかけましたから、兵馬も、

「やあ」

と言いました。先方は第二句をつづける代りに、兵馬の立っているすぐ足許へ、どっかりと腰を卸してしまい、

「幸いに、好天気ですな」

存外、世間慣れた口の利きぶり。兵馬は一見して、これは遊学の書生だと思いました。同じ書生にしても、丸山勇仙のように世間ずれがし過ぎたのではなく、相当度胸があるが、一面、極めてウブな青年だと思いました。

「ドコにおいでです」

と兵馬から尋ねられて、

「これから、越前の福井へ帰るです」

「ドコからおいで?」

「近江の胆吹山から参りました」

越前福井へ行くというのは常道だが、胆吹山から来たというのが少し変です。

「胆吹山から――」

兵馬も不審を持ちながら、この青年を相手に少し話して行こうと、自分も路傍のほどよき木の根に腰を卸して、青年と押並んで話しよい地点を保つと、青年が、

「胆吹山で、少し働いておりましたが、これからひとまず故郷の越前福井へ帰ってみようと思います」

「胆吹山で何を働いておいででした」