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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠2(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,601 字 · 387 頁

青空文庫

「ああ、水が飲みたい」

「水が欲しい」

村とはいうものの、ここは十津川郷の真中で名にし負う山また山の間です。十津川の沿岸を伝うて行けばなんのことはないのですけれども、四藩の討手が、残党一人も洩らすまじと、夜となく日となく草の根を分けている際ですから、それはできませんでした。

大日ヶ岳へ連なる山々を踏みわけて、木の繁みを潜り潜り歩いて行くのだから、水にも遠くなる。水、水というけれども、木莓一株を見つけ出してさえ、十一人の眼の色が変るくらいですから、その腹の応えは思いやらるるのです。

「川岸まで戻ってみようか」

眼を見合せて惨澹たる面の色。

「それはよせ、さいぜん鉄砲の音が聞えた。拙者の考えでは、これをずっと向うへ横に切って、紀州の日高郡をめざすが無事だと思う」

「道程は……」

「風屋――小森――平松――三本磯と行って、紀州日高郡の竜神へ凡そ十三里」

「その間の兵粮は……」

「さあ、それが……」

一同は口を噤んで足が動かない。

「おのおの方、あれを見られよ、煙が棚引いている」

沈んだ声で後ろから言い出したのは、あの時以来、何をしていたか、ともかくここまで傷一つ受けずに来た机竜之助でした。