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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠2(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,601 字 · 387 頁
「そんなことがあるものでしょうか」
「あるかないか、昔からの言い伝えじゃ。お内儀さん、お前さんもこの土地に居着きなさるものなら、よく覚えておおきなさい、鉾尖ヶ岳から白馬ヶ岳まで一筋の雲……」
六
竜神の社の石段は、数えてみると九十八級あります。
幅が狭いだけに勾配が急に見える。別に女坂というのはないのですから、お豊はこの石段の上に立って見上げていると、十日ほどの月影が杉の木の間を洩れて、木の下闇では虫が鳴く。
「おや、お豊ではないか」
「まあ、金蔵さん」
金蔵は旅の姿である、今どこからか帰って来たばかりである。そうしてここへ通りかかったものであります。
「お前、一人でどこへ行くのじゃ」
「竜神さまへ参詣に参りました」
「なんと思って、こんな夜分――まあ信心はどうでもよい、わしと一緒に帰ろう」
「はい……あの」
「お前を喜ばせようと思って、これこの通り和歌山の御城下から、お土産を買い込んで来たわい、さあ、早く一緒に帰りましょう」
金蔵には恋女房である、この女一人を喜ばさんがためにはどんなことでもする、土産をひろげて女の喜ぶ面を早く見たい。手をとって連れて帰ろうとするのにも無理はない。