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だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠3(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 214,131 字 · 423 頁

青空文庫

峠を越してしまわねえうちは、こっちのもんでこっちのものでねえようなものだから、なんとかして漕ぎつけてえんだが、身体が利かねえから仕方がねえ。ああ、ほんとに弱った、死んでしめえそうだわい」

がんりきはついにそこへ、へたばって動けなくなりました。

がんりきが動けなくなった時分に、お絹が少しく動き出してきました。お絹が少し動き出した時分に、下の方で喧ましい人の声、上の方でもまた人の声。

昏倒しかけたがんりきは、お絹の動いたことにはまだ気がつかなかったけれど、上下で起るその人の声は早くも耳に入ると、必死の力でむっくり起き直って見ると、提灯の光が、いくつもいくつも黒野田の方から、谷川と崖路を伝うてこちらを差して来るのがわかります。

上の方、矢立の杉のあたりからもまた火影がチラチラ、してみると自分はもう取捲かれているのだ。がんりきは遽に立ち上ってよろめきながら、

「トテモ逃げられなけりゃ、ここで心中だ。生きて峠が越えられねえのだから、死んで三途の川を渡るのも、乙な因縁だろうじゃねえか。道行の相手に、まあこのくらいの女なら俺の身上では大した不足もあるめえ。猿橋の裏を中ぶらりんで見せられたり、笹子峠から一足飛びに地獄の道行なんぞは、あんまり洒落すぎて感心もしねえのだが、どうもこうなっちゃあ仕方がねえ」