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だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠3(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 214,131 字 · 423 頁

青空文庫

辞を厚うし、身を謙下っても後学のために見ておきたいと思っていたところでありましたが、神尾があんまり我物顔に思わせぶりをするものだから、

「いかにも、あの有野の伊太夫が家に名刀があるとはかねて噂に聞いていた。噂に聞いたところによれば、源氏の髭切膝丸、平家の小烏丸にも匹敵するほどの名剣であるそうな。しかし誰が行っても見せたことはない、見た者もないという。それ故、あの名刀は評判倒れ、実はそれほどでもない剣を、あんまり評判が高くなった故に、人に見られるのがきまりが悪く、それ故秘して置くという蔭口もござる。今日はそれらの疑いが残らず晴れることでござろう、喜ばしいことでござる」

やや皮肉まじりに言い出でたのは、鉄砲方の平野老人でありました。

「まことこの品が噂通りの名剣であるか、或いはさほどのものではないか、御一見の上でおのおの方の腹蔵なき御意見を承わりたい。拙者とても今日はじめて見る品」

神尾は平野老人の言い方が少し癪にさわったようでありました。しかしこの老人はこの席の中での刀の目利でありましたから、多少は警戒しました。万々が一、この刀が評判ほどのものでないとすれば、真先にこの老人から槍が出ると思いましたから、少しは気味が悪いと見えます。