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だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠3(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 214,131 字 · 423 頁

青空文庫

そこへ息を切ってお君が馳せつけて来て、

「ムク、まあどうしたのです、お殿様へ御無礼を申し上げて」

お君は、せいせい言いながらムクを叱りました。駒井能登守は莞爾としてムクの頭を撫でながら、

「叱ってはいかぬ、こりゃ良い犬じゃ、この犬のおかげでわしは助かったのじゃ」

と言って駒井能登守は、一間ほど前のところの草の中を指さし、

「そこに古井戸がある、その古井戸へ、すんでのことに馬を乗りかけるところであった、それをこの犬が追いかけて来て留めてくれた、初めは狂犬かとも思うて、鞭で二つ三つ打ち据えたが、それでも退かぬ故ようやく気がついた、この犬がいなければ、わしは馬もろともこの古井戸へ落ちて助からぬことであった、ああ危ないことであったわい」

と言って、能登守は汗を拭きました。

「まあ、左様でございましたか。ムクや、よくお殿様に危ないところをお教え申しました、お前はやっぱり良い犬でした」

お君は駈け寄ってムクの首を抱きました。その時、能登守はお君とムクとを見比べていましたが、

「この犬は、お前の犬か」

「はい、わたくしの犬でございます」

「お前はここの家の……」

「雇人でござりまする」