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だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠3(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 214,131 字 · 423 頁

青空文庫

その杖を手に取って、行燈の方へ静かに歩み寄って、その火を消そうとすると、廊下に人の足音がしました。それで竜之助は行燈を覗いたような形のままで、その足音に耳を傾けました。

足音は廊下を伝ってこの座敷へ来るのであります。

「机氏、机氏」

と言って竜之助を呼びました。

「おお、主膳殿か」

竜之助はそれを知って、燈火を吹き消すことをやめて、冠っていた頭巾を取って懐中へ押隠すように入れてしまいました。そこへ入って来たのは神尾主膳でありました。

主膳は片手に長い箱を抱えて、

「竜之助殿、貴殿に見せたい品がある、それでワザワザやって来た」

「それはそれは」

主膳は長い箱を目の前へ取り直して、

「いつぞや噂をした伯耆の安綱の刀が手に入った」

「ははあ、安綱がお手に入ったか、それは珍重」

主膳が包みを解いて箱の中から出した袋入りの白鞘は、前日試し物のあった日から、幸内と共に行方不明になった馬大尽の家に伝わる宝刀であります。

しばらくして神尾主膳は、燈下でその安綱の鞘を払って竜之助の前に突き出して、

「二尺四寸、大湾れで錵と匂いの奥床しいこと、とうてい言語には述べ尽されぬ」

と言いました。