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だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠3(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 214,131 字 · 423 頁

青空文庫

の鎖を解いてやって下さい。そうすればこんな折助なんぞ幾人来たって、こんな口惜しい目に会やしないのに。ムクを、ムクを、ムクの鎖を解いてやって下さいよう」

声を限りに叫びました。

九

お君が神尾主膳に柳屋へ呼ばれて、三味線を取り直した時にこの騒ぎが起りました。

お君は三味の糸を捲く手をとめて、

「何でございましょう、あの音は」

廊下をバタバタと駈けて来た女中が、

「喧嘩でございます、あの女軽業の小屋の内へお仲間衆が押しかけて、いま大騒ぎが持ち上ったのでございます、人死が出来ました、火事になりました」

「あの女軽業の小屋へ、城内のお方が押しかけてあの騒ぎ? それは大変、こうしてはおられませぬ」

お君は三味線を投げ出して立ちかける。その袖を神尾主膳は押えて、

「あの騒ぎの中へ一人で行っては危ない」

「危なくてもよろしうございます、こうしてはおられませぬ、どうぞお暇を下さいまし」

神尾主膳の袖を振り切ったお君は、三味線も撥も投げ出して跣足で飛んで帰りました。

「ああ、大変なこと、火がついてしまった、こんなことならモット早く来ればよかった」

お君の来て見た時分には、小屋の裏手へ一面に火が廻っています。