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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁

青空文庫

又六は飲けぬ口であったな」

「こんな結構なお酒を、ここいらの者に飲ませては勿体のうございます、殿様のお召料になさいませ」

「そうはいかない」

「それではこちらでお預かり申しておきましょう。ああ、ちょうどよろしうございます、鉄瓶があんなに沸いておりますから、少々ばかりここでお燗を致して差上げましょう、お一人では御不自由でございましょうから」

「それには及ばぬ」

「どうぞ、殿様、せっかく、隠居様のお心持でございますから、そうあそばして一口お召上りなさいませ」

お吉は甲斐甲斐しく、この酒を受取ってお燗の仕度にかかろうとします。

主膳は、さきほどがんりきに焚きつけられて、もだもだといやな気がさしたのが、お吉のこの愛想で、また前のようにいい気持になりかけました。

又六の女房お吉は、さして好い女というではないが、愛嬌があって、親切者で、日頃よく主膳の面倒を見てくれるから、主膳も好意をもっていたところへ、こうして下へも置かぬようにされると、つい、「それでは」という気になりました。

「まあ、こんなむさくるしいところへ、どうぞ殿様、これへお上りくださいませ」

お吉は蓙などを持って来て、すすめるものだから、主膳もついそこへ上り込んでしまいました。