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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁
「ちぇィッ」
無慈悲にその肩を左に開くと、侮りきっていた高部がよろめいた途端を、左の手で突放したと見る間に、
「あっ!」
と言って、頬を抑えて無二無三に後ろへ飛び退ったのは高部で、ほとんど五間ばかり一息に後ろへ飛びさがって、そこで仰向けに倒れて、
「あつ、つ、つ、つ、つ」
と左の手で自分の頬をおさえると、その指の間から血が滝のように溢れ出します。それでも、右の手には早くも脇差を抜いて、仰向けに倒れながら、それを構えたが、みるみる、面の全部が溢れ出す血潮で塗りつぶされ、余れるものは指の間から筋を引いて下へ落ちます。
竜之助は、抜討ちに高部の横面を斬りました。それでも、幸いにして、その横面は、頭蓋骨を二つに殺いでしまわないで、左のこめかみから三日月形に、頬を伝い、骨を残して肉だけを斬って、上唇まで裂いてしまいました。高部が飛び退ってその傷を手で押えた時に、はじめて血が迸ったものですから、その瞬間に見た傷口は、なんのことはない、口が左へ耳の上まで裂けあがったのと同じことです。しかし、それも瞬間のことで、その血は忽ち顔の全面に溢れたものですから、丸山勇仙は、高部がやられてしまったなと思いました。