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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁

青空文庫

婆さんはかいがいしくお墓を掃除してくれる。駒井は花と香とをあげて礼拝する。父母と先祖と、それから、親戚のものにいちいち礼拝をして廻って、やがて、例の天樹院殿の前までやって来ました。天樹院も、本多家も、多少、駒井の家と血縁を引かないということはない。駒井は、玉垣の門を開いてもらって、ここへもおまいりをして行くつもりです。香と花とを捧げ終って、駒井は何か物思うことあるが如く、やや離れて、天樹院の五輪塔を暫くながめておりましたが、

「婆さん」

箒をつかっている婆さんを呼んで、

「お前は、この天樹院様をどう思う」

「天樹院様をでございますか?」

「うむ」

「どう思うと仰せられましたのは?」

「つまり、いい人か、悪い人か、愛すべき人か、憎むべき人か……」

「左様でございますねえ……」

婆さんは箒の手をとどめて、今更のように天樹院殿の大きな石塔を仰ぎ、

「お美しい方であったと存じます」

そういってお婆さんは、にっと笑って駒井の面をながめます。今に始まったことではないが、このお婆さん自身がむかし美しい女であったに相違ない。いや美しいというよりは、美しいそのものを売り物にした経歴をたどって来た女ではないか。