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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁

青空文庫

駒井は老婆の案内に応じて、土間の長い腰掛に腰を卸すと、あとから続いた老婆は、風を厭うて障子を締めきり、やがて、渋茶の一椀を駒井の前に捧げましたから、駒井はそれに咽喉をうるおします。

朝日が、前の木立の間から洩れて、いま締めきった障子に光を投げている。内も外も静かで、本堂から洩れるおつとめの音がよく聞える。

その時分、締めきった障子の外で、

「おばさん」

「はいはい」

「花を持って来たよ、これをおばさんの店で売るといいや、院代さんにことわってうろ抜いて来たんだよ」

内では見えないが、障子の外に立ってこういいながら、胸一ぱいに秋草を抱え込んでいるのは、宇治山田の米友であります。

「友さん、どうも済みませんね」

婆さんは障子を少し開いて前から見ると、それは米友が歩いて来たのだか、草花が歩いて来たのだかわかりません。

「どう致しまして」

胸一ぱいに草花を抱いた米友は、婆さんのあけたところから土間の中へ入り込み、

「花桶の中へ入れといて上げような」

「ああ、どうぞ」

そこで米友は胸一ぱい抱えて来た秋草を、明いた花桶の中へ入れようとして、

「おや、この桶には水がねえや」

「水がありませんかね。