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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁

青空文庫

「ふむ」

「あなたは斬合いをなすっておいでになったのでしょう、あなたほどの方ですから、きっと先の人を斬っておしまいになって、その時に受けた手傷がこれなんでしょう、わたしはそう思います」

「そうではない、ちょっとした怪我だ」

兵馬は極めて怪しい打消しをすると、女はこの怪我をした指先を、ちょっと握って、

「にくらしい」

「ああ痛ッ」

兵馬はほんとうに痛かったのです。

「弱い人ですね、そんなことでは仇は討てませんよ」

東雲はあやなすようにいったのを、兵馬はかえって意味深く聞いて、

「全く……」

東雲はしげしげと兵馬の面を見直しました。この女は兵馬が仇を持つ身であることを、まだ知らないのです。

「それでは隠さずにいってしまおう、いかにもこの傷は人から受けた傷なのだ、しかし、斬合いをして斬られた傷ではない、人から打たれた傷なのだ……傷は僅かながら、残念でたまらないのは、受けなくともよい傷を、無理に受けたようになる鍛練の未熟が恥かしいのじゃ」

兵馬は心から残念がって、その時のことを眼に見るように思います。

尺八を持って月下にさまようていた人。それを普通の虚無僧だと思って、その右を通り抜けようとした時に、その虚無僧が尺八を振り上げて、風を切って打ちこんで来たのを、かわすにはかわしたが、充分にかわしきれないで、この指先を砕かれた。