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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁

青空文庫

それから、錵と匂い、それは、あなたにはわかるまいが……銘があるとの話、その銘は何という名か覚えていますか」

「小さい時から聞いておりました、国広の刀だそうでございます」

「国広……」

「はい」

「ただ、国広とだけか」

「ええ、国広の二字銘だとか、父が申しておりましたそうで」

「ああ、国広か」

竜之助にかなりの深い感動を与えたものらしく、刀を二三度振り返してみて、

「国広にも新刀と古刀とあるが、これはそのいずれに属するか、相州の国広か、堀河の国広か」

とひとり打吟じて、

「多分、堀河の国広だろう、ああ、いい物を手に入れた」

彼の蒼白い面の色が、みるみる真珠の色に変ってゆくと、

「堀河の国広というのは、よい刀ですか」

「新刀第一だ」

その真珠色の面が刀の光とうつり合って、どこかに隠れていた血汐が、音もなく上って来るようで、気のせいか女の鬢の毛が、風もないのに動いて見えます。

刀を抛ってここにほぼ百日。ようやく人の世の微光がその眼に宿りかけた時、再びこれに刀を与えた。要らざる餞別。与うべからざるものを与うるのが、女の常か。

四

雨のしとしとと降る中を、わざと甲州街道の本街道を通らずに、山駕籠に桐油をまいて、案内に慣れた土地の駕籠舁が、山の十一丁目まで担ぎ上げ、それから本山を経て五十丁峠の間道を、上野原までやろうとする