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たいしゅうものすんかん
大衆物寸観
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《大衆物寸観(たいしゅうものすんかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,172 字 · 5 頁
純文壇の方面では、小川未明氏が中里氏と同じく、「あった」と「ありました」とを混用し、矢張り、味を出している。けっきょく創作というものは、広義に於ける人間社会を(人間社会に必要な、天然界をも含んだものであるが)まず対象とするものであるから、人間社会で使っている言葉を、そっくり持って来て使えばよいので、それを為ないということは、屹度文章を作る場合にかしこまるからに相違無い。
だが貧弱な文章論なんか、まず何うでもよいとしよう。
長谷川伸氏の大衆物も、洵に勝れたものである。亢奮もせずダレもせず、ピンと張り切った地味の文章で、極めて克明に書くのであるが、それでいて興味は無限である。特趣の材料を持って来ることも、興味のある大きな原因らしい。「討たせてやらぬ敵討」これは同氏の近著であるが、表題からして特異である。そうして中味も特異である。
大方の現今の大衆物は、英雄崇拝熱から醒めていない。強い人間は無暗に強く、弱い人間は矢鱈に弱く、悪い人間は何処迄も悪く、善い人間は最後まで善い、こんな塩梅に書かれている。講談式であり草双紙式である。本当の人間は書かれていない。