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おおさかをあるく

大阪を歩く

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《大阪を歩く(おおさかをあるく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 32,964 字 · 65 頁

青空文庫

ある店は、私が、説明を求めても「さあ」と云って、返事ができないし、ある店は質問すると、面倒臭そうに「存じません」と、答える。私は、そういう店で、二度と買わない。私は、よく、高島屋の百選会とか、三越の三彩会とかへ行くが、新聞の流行記事に、今年の流行は何色で、模様は有職風の現代化などと宣伝しているが、店員は、傲然とした貴婦人(大抵おかめが多い)に、御叩頭をするばかりで、私などの横は、風を切って行くし、時に、一品を買って「この色は、化学染料でなく草木染で出すといいが」とでも、批判すると、もう、返事ができない。

謂いかえると、知識も、熱も、忠実さも無い。だから、私は、そうした会で、少々の流行品を買う外、悉く、主人が一人で、熱心に、研究している家で買う事にしている。値は、デパートより高いが、品物に対する知識を得る事が多いからである。

私は、急激に発達するデパートの店員の悉くが、彼の専門的知識をもっていようとは思わ無いが、知識を十分与えるように努力している店主が幾人あるか、聞きたいのである。叮嚀とか親切とかは、既に古い。少くとも、大阪の商人、店員は、品物への知識、それによる客の知識の開発、これが商売を盛にする現代的の傾向である――と私は信じる。